ふみの森もてぎ落成式

 平成28年7月15日、「ふみの森もてぎ落成式」が行われました。元禄16年(1703年)創業の酒造蔵元ほか、隣接する1900坪の土地に、町有林材をふんだんに活用した「まちなか文化交流館〈ふみの森もてぎ〉」の落成です。棟札によると弘化3年(1848年)という仕込み蔵の梁や柱を活用した“ギャラリーふくろう”に設けられた式典会場には、来賓および招待者、関係者など総勢120名が顔を揃え、玄関前で行われたテープカットまで、茂木町の新しい文化拠点のスタートをお祝いしました。

【古口達也町長による式辞】

宝探しinふみの森

 7月17日、ふみの森もてぎグランドオープンの翌日、図書館には朝からたくさんの子供たちの元気な姿でいっぱい。「宝探しinふみの森」と題されたイベントが開催されました。主催したのは「なでしこの会」で、ふみの森もてぎを支えるサポーター組織の「ふみの森の仲間たち“こだま”の会」に登録しているボランティア団体です。

文化の「地産地賞」ということ

昨年(2019年)の11月29日から12月15日まで、ギャラリーふくろうで開催された「長谷川隆 水彩画展」は、訪れた人たちに静かな感動を呼び起こす展覧会だったと思います。茂木の里山と田園の風景画を中心に長谷川隆さんが旅をして描いた全国各地の風景画も展示され、そのどれもがやや淡い色彩とやわらかく繊細なタッチの美しい作品で、観ているとどこか懐かしく心が和んでくるようでした。しかも一見似たような風景が季節や時間帯によって微妙に描き分けられていて、実に多様な作品世界がひろがっていました。自然豊かな茂木町に、また「ふるさと」をテーマの一つとするふみの森に、まさにぴったりの展覧会でした。

この会期中の12月8日に、2回目を迎えた当館主催のふみ(文章)コンクール「ふるさとの食に寄せて」の表彰式と作品朗読のイベントが、展覧会場で開催されました。長谷川さんには会場使用をあらかじめお願いして許諾をいただいていましたが、おかげで周囲の壁面にふるさとの風景画が並ぶなか、絶好の雰囲気でコンクール入賞作品が披露されました。イベントの参加者は長谷川さんの作品も鑑賞し、長谷川さんも参加者となって朗読に耳を傾けてくださいました。

長谷川さんは横浜市に生まれ、高校・大学と美術部で活動、就職後も日曜画家として水彩画に取り組まれ、1990年代後半から茨城県を拠点に個展を開き、インターネットでも作品を発表してきました。特に近年は茂木町南部の農村に滞在拠点を設け、農業を営みながら画業を続けているそうです。たしかに茂木各地の風景は長谷川さんの絵の対象として好適なものでしょう。そんな長谷川さんがふみの森の図書館をご利用になるうち、カウンターでの職員との会話がきっかけとなり、ギャラリーでの作品展が実現した次第です。

昨年は長谷川さんの展覧会のほかにも、偶然の出会いや口コミから、さくら市在住の阿久津静夫さんの写真展「懐郷の旅」(7月25日~8月18日)と常陸大宮市在住の大貫亘さんの写真展「川霧の里」(10月18日~27日)がギャラリーふくろうで開かれ、どちらも大変なにぎわいでした。阿久津さんは八溝山地、大貫さんは那珂川流域をテーマに撮影を続けられ、茂木各地の懐かしい風物や美しい光景を作品に収めました。長谷川さんを含め、このように茂木出身ではなくても茂木の自然や人里に魅せられ、それを絵画や写真という芸術に高めてきた方々と出会い、その作品をふみの森で多くの人たちに鑑賞していただけたのは、館としてまことにうれしく、ありがたいことでした。

近年「地産地消」という言葉をよく耳にします。基本は、食品や農水産物について地元で生産されたものを地元で消費するという意味でしょう。私はこれを少し拡大して、芸術をはじめ、さまざまな分野の文化についても地産地消が可能ではないかと思っています。その地域にゆかりのある、あるいはその地域ならではの文化を、その地域の人々が味わって吸収し生きる力とすることです。しかし文化はただ消費すればいいというものではありません。最近は文化をコンテンツと言い換えて、その産業化と消費拡大、利益追求をめざす傾向もあるようですが、文化はそのように消費されていいものでしょうか。その意味で、文化については、地産地消の「消」の字を「賞味」「鑑賞」の「賞」の字に替えたいと思います。ふみの森もてぎはこれからも文化の「地産地賞」に積極的に取り組んでいく所存です。

2020年 (令和2年)
5月29日(金)
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