森を育てる人たち

ふみの森もてぎのオープンから半年余りが過ぎました。この間、町内外から多数の方々に訪れていただき、お蔭様でトータルの来館者数は7万人を超え、図書館の資料貸出数も5万点を突破しました。ふみの森は少しずつ生長しているところですが、現実の森の育成・管理に多くの人の手が必要なように、ふみの森もこれを育てる有志(ボランティア)のみなさんに一方ならずお世話になっており、スタッフ一同いつも感謝しています。 

図書館、美術館などの公共施設を支援する地域住民の活動や組織は、一般にボランティアと呼ばれ、近年はサポーター、フレンズなどの名称も用いられていますが、ふみの森もてぎでは開館を前にした昨年6月、その組織が「ふみの森の仲間たち こだまの会」として発足しました。「こだま」は漢字では「木霊」または「木魂」と表記され、「樹木にやどる精霊」を意味します。山に向かって叫ぶと山の木々にすむ木霊が同じ声を返してくると考えられ、この現象も「こだま」と呼ばれるようになりました。ふみの森にふさわしい名前だと思います。 

こだまの会は現在5つの団体会員と31人の個人会員で構成され、これまでに活動に参加した人は140人に上ります。その活動は多岐にわたりますが、いくつかを紹介しましょう。まず、来館者の目を楽しませ心を和ませるエントランスや洗面所の生け花、添えられた折り紙ともども、心得のある会員の心尽くしです。花といえば、アプローチにおいてあるプランターへの苗植え、水やりも会員のお世話になりました。また、ギャラリーや歴史資料展示室の展示では会場での案内や解説をしていただき、展示に因む歴史散歩で講師として茂木の歴史をわかりやすく話してくださった方もありました。 

図書館で月2回開かれているおはなし会、ここでもこだまの会の会員が大活躍。長年の経験に裏付けられた技量で子どもたちを楽しませてくれています。そして図書館の仕事として欠かせない書架の整頓、ほぼ毎日1時間、会員が交代で書架をチェックして乱れを直しています。ふみの森の図書館は、書架の美観を保つために、原則、本の背は棚の前縁にきちんとそろえ、しおりのひもが本の下にネズミのしっぽのように垂れ下がらないことにしていますが、これはこだまの会の協力なしには実現がなかなか難しいものです。もう一つ特筆すべきものに、地元の県立茂木高校(団体会員)の活動がありますが、これについては「森を語る」7をご覧ください。 

ふみの森はなんといっても生長途上で、まだまだ手を加えて育てていかなければなりません。それは第一に私どもスタッフの責務ですが、みなさんのお力添えなしには十分な生長が望めません。来館者としてふみの森に足を運んでいただくだけでも大きな応援になります。こだまの会で活動していただければさらに大きな力をもらうことができます。こだまの会とふみの森は対等のパートナーとして思いをこだまさせながら、さまざまな課題にこだまのように迅速に対処していきたいと思っています。

2023年 (令和5年)
6月5日(月)
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