新宿で生まれ育った著者が、経済成長によって生じた「歪み」を都市の記憶とともに描写。派遣フリーターとして都内の出版社や印刷所で働きながら目にした21世紀の底辺社会と、そこに生きる下層民たちの実態を浮き彫りにする。

内容:怪物になった街. 王子の東側の不気味. 「江戸」が濁る北品川. ゴーストたちの大川端. 火星の多摩センター. 北池袋ブルーズ・アウェイ. 牛込柳町の詩心. 神楽坂崖下の痩せ犬. 東銀座でCRMに誘われて. 土曜の真夜中、小石川の工場で. 初台で猫男やベルーガになる. 神田錦町のブラウニー. 田町でガレー船に乗る. 鴉たちの日比谷公園. 神々の谷底、神田明神下. 六本木一丁目、真夏に聞こえる「冬の旅」. 酔い醒めの朝、銀座三丁目で. 荒野の校正マンたち. 羽田、一月六日午前零時. 両国、二つの国の境目あたり. 鳥居坂から麻布十番へ. 新大塚. 北青山の「第二の世界」. 大森西・運河の畔で. フルコースの人 ほか8編